ルーテル世界連盟

Lutheran World Federation

 ルーテル教会は、1517年にマルティン・ルターが掲げた「聖書のみ、恵のみ、信仰のみ」という宗教改革のいわゆる三大原理に基づく教会です。神の恵みである「キリストの十字架」のみ業により、人間の魂が救われることをルターは説いて、当時のローマ・カトリック教会批判をきっかけにドイツに最初に誕生した教会です。

 ルターの主張は、ヨーロッパで多くの人々の共感を呼び、ドイツだけに留まらず、その宗教改革の波は北欧諸国であるデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランドに広がり、ルーテル教会が国()教会となっていきました。

 大航海時代と共に新大陸、ことに北アメリカの発見の後、17世紀以降ドイツ及び北欧諸国の人々が北アメリカの東海岸に移民として渡り、ペンシルベニア、バージニア、ノースカロライナ、サウスカロライナなどの各地にルーテル教会が形成されました。今日では、アメリカの三つのルーテル教会1987年5月に合同して、アメリカ福音ルーテル教会(ELCA 会員数520万人)が誕生しました。

 18世紀以降、ヨーロッパ及びアメリカからアジアやアフリカの各地にルーテル教会の伝道が展開され、世界各地にそれぞれのルーテル教会が形成されました。現在の世界のプロテスタントの中での最大教派は、ルーテル教会(ルター派)であり、全世界に7,500万人の信徒を有しています。

 1947年にルーテル教会の大部分が参加して、連合組織としての「ルーテル世界連盟」(LWF)が設立され、その本部がスイスのジュネーブに置かれています。現在、この「ルーテル世界連盟」(LWF)に所属する教会は、世界65ヶ国にある114教会に及んでいます。所属しているメンバー教会の会員数は、5,500万人達しています。

 このLWFの下にある世界奉仕部(LWS)は、世界の発展途上国の医療・教育・開発・飢餓等の支援のために援助活動を行っており、世界有数の援助団体(NGO)となっています。世界奉仕部(LWS)は、世界の20ヶ国以上に現地事務所を置き、100名以上の国際スタッフのもと、現地で雇用する職員を含めると5,000人ほどの人々が難民の救援、農業開発、医療・保健などの各分野で奉仕活動をしています。全体の年間予算は約100億円以上で、ドイツ、アメリカ、スウェーデンなどの教会が最大の資金提供をしています。このための全体の予算の約半額は世界の教会の会員からの献金であり、後の半額はそれぞれの教会機関が国の予算(ODA)得て、LWFの世界奉仕部(LWS)に資金提供をしています。