月報付録 2008年4月6日発行   

  「東海教区・静岡教会前史」
   ELC宣教師の軌跡(52)

「教会合同準備 @

 

一九六二年度における東海福音ルーテル教会の教会(13)及び伝道所(8)の情況を統計数字も加えて、一覧に示してみるとこのようになる。括弧内の()は、宣教師が主任者であり、()は邦人牧師が主任者である。()は会堂が、()は牧師館が備えられていることを示す。現住は現住会員、礼拝は一回の礼拝平均出席者数である。

 名古屋恵() () ()   現住(62)礼拝(30

 刈 谷() ()     現住(19)礼拝(46

 岡 崎() ()    現住(29)礼拝(50

 半 田() ()    現住(36)礼拝(34

 豊 橋() () ()  現住(45)礼拝(20

 浜 松() () ()  現住(67)礼拝(30

 島 田() () ()  現住(36)礼拝(32

 焼 津() () ()  現住(32)礼拝(36

 静 岡() () (館・建築中) 現住(59)礼拝(46

 小 鹿() ()    現住(21)礼拝(30) 

 沼 津() ()    現住(17)礼拝(40

 東 京() () ()  現住(55)礼拝(32

 本 郷() ()    現住(31)礼拝(64

 

 伝道所は次の通り。

 板 橋() ()   現住(26)礼拝(35

 湯河原() ()   現住(24)礼拝(55

 富 士() ()   現住(23)礼拝(40

 清 水()     現住(1)礼拝(52

 掛 川()     現住(12)礼拝(40

 田 原() ()   現住(12)礼拝(30

 常 滑()     現住(7)礼拝()

 柴 田() ()   現住(19)礼拝(40

 この他に浜名湖周辺で固定した場所の設定はなく、巡回的伝道による集会所が設けられているのが、三ケ日、都築、大知波、鷲津、新居、村櫛であった。

 さらに、施設は次の通り。

 東海ルーテル聖書学院

 梅ケ島バイブル・キャンプ

 静岡学生センター

 

 ここからは、日本福音ルーテル教会との教会合同について触れて行きたい。

一九六一年八月一八日、長野県野尻湖で「ルーテル諸派合同宣言大会」開催のための準備会が各ルーテル諸団体の代表を集めて非公式に開かれた。 

 東海福音ルーテル教会からは河島とソレソンが、日本福音ルーテル教会からは岸、山内、田坂、ハドル、デール、ワルトネンの諸氏が集まった。

 非公式会談ということであるが、山内六郎を座長に推挙し、田坂、タックの二人が書記となって議事が進められた。

 その結果、次のような合意文書を作成した。

 「今秋、合同宣言大会を行う。但しある団体は十一月末迄に外国伝道局の最終的意向をきくことは可能であるが、地域的に組織されたばかりの教区(仮称)としての最後的決定は来年三月末までは困難な所もある。しかしながらそのような現況においても、これまで合同憲法、規則起草のため委員を選出して努力して来たルーテル諸派は、一応同等の資格において合同宣言大会に参加することとする。なお、合同創立総会は一九六二年に開催する」。

 宣言文と共に、同年十月二二日、二三日の両日、神戸ルーテル聖書学院において「合同宣言大会」を以下のプログラムで開催することとした。

 

 期日 十月二二日、二三両日

場所 神戸ルーテル聖書学浣

出席者割当

 日本福音     二五

  東海福音     一〇

  ノルウェー三流  一ニ

  スオミシノド    二

準備委員長 サロモンセン

委 員    松岡幹三

       内海季秋

           ホアス

           キぜフレ

日程(案)

 十月二二日(日)午後七時 特別礼拝

    奨励者 ウインテル

       スタイワルト

 

   外に信徒数人の証し

その後親睦会

午後九・三〇まで

 十月二三日(月)

  午前 

聖書研究 ホアス

  パネル・ディスカション

    司会 山内六郎

 発題 栂坂、河島、キプレ

  午後 議事

    座長 岸千年

    宣言及閉会式

     司会 武村(松江)

 

 東海音ルーテル教会は九月十一日、常議員会を開いて、合同問題について協議し、次のように決議した。

「一、本教会からは常議員会、ソレソソン、恵教会の信徒一名、計十名を出席させる。

 二、出席に要する費用は予備費から支出する。

 三、各個教会には文書で通知し、了解を求める。」

 十月二二、二三両日、神戸ルーテル聖書学院で、「合同宣言大会」が開催され、約五十名の代表者たちが出席した。

 この大会で、「合同宣言文」が採択され、その文中、「よって我らは、昭和三十七年(一九六二)十月宗教改革記念日を期して、合同創立総会を開催することを目指して進むことを決定した」を謳い、全ルーテル各派がそれぞれの責任機関の協議を経て、合同実現の準備に取り掛かっていった。

 大会から二ヵ月後の十二月二十九日、日本ルーテル神学校で第一回の合同準備委員会が以下の出席者をもって開かれた。

 東海福音 河島、大柴、

ソレンソソ

 日本福音 岸、山内、田坂、ワルトネン、

ハドル、デール

 近畿   奥川、上野、

サロモソセン

 西日本  ホアス

 スオミ  岡田、ルソド、木下、野沢

                    

 

 準備委員長に岸、書記に田坂とソレンソソが選ばれ、委員会の任務を以下のように確認した。

 一、各支援ミッション、ボードとの特別協約を作る

 二、財政上の立案

 三、創立総会のための特別折衝

 四、同諸委員の推薦 

 五、憲法、規則の整備

 六、宗教法人の手続

 七、一九六二年及一九六三年の予算作成

 八、合同に伴う教会の礼拝株式等実際問題の研究

 九、合同準備のため事務局の活動専任事務局長選任のこと

 十、教区の区分

 

さらに、次のことが決議された。

一、この準備委員会が創立総会に至るまで、合同準備に関する責任をとる。

二、準備委員会の書記 (邦人一名、宣教師一名)は準備委員会の記録の責任をとる。

三、合同準備のため創立総会に至るまで、専任の事務局長を選任することとし、現日本福音ルーテル教会の常議員会にその人選を依頼する。選出された事務局長は可及的速やかに就任することを希望する。但し事務局長の就任がおくれるようであれば、その間委員長が適当と認める者に、代行させることとする。

四、合同準備のため委員長、邦文書記、英文書記及び事務局長を実務委員に当たらせることとする。実務委員において仕事の都合上必要と認められる場合は別に委員を依嘱することとする。

五、次期準備委員会は三月六日(火)正午より三月七日(水)正午迄熊本慈愛薗において開催する。

 

本格的合同の動きは、第二年目に入り、一九六二年三月六、七日の両日熊本の慈愛園で開き、以下の代表が参加した。

東海福音 

河島、大柴、ソレンソン

近畿福音

奥川、上野、サロモンセンアルベ、キプレ

日本福音

岸、山内、坪池、田坂、

ハドル

オブザーバーとして

 西日本 鍋谷、ビユー

 日本ルーテル教団 

名尾、ハス

 

合同教会の教区区分、合同総会日時と会場(一九六二年十月三十日〜十一月一日東京)、合同創立総会予定(一九六三年五月第一週)、海外支援金の関係と用途、実務委員設置等が協議されたが、最終的決議の一致を得ることはできず、各団体でそれぞれ検討し、次回までにその答えを持ち寄ることとし、次回は五月十日に開くことを約して散会した。

 その後、五月までの、二ヶ月間に二つの非公式の会合が持たれた。

 一つは四月十六日大阪のルーテル・アワー・センターにて、日本福音ルーテルを除く、他の三団体(東海、近畿、西日本)が集まった。

東海福音ルーテル教会

河島、大柴、ソレンソン

近畿福音ルーテル教会

上野、石村、奥川、法用、キブレ、アルベ、サロモンセン

 西日本福音ルーテル教会

鍋谷、ルンドビー

 会合の目的は「日本福音ルーテル教会の総会以前に、われわれの意見を明確にし、これを日本福音ルーテルに通告するため」と規定し、次の七つの項目を協議事項とした。

一、教区長を常議員会の正式メンバーとするように、合同憲法、規則に明記する。

 一、近畿、西日本、東海をそれぞれ一つの教区とする。

一、三つの教会が持っている憲法、規則をそれぞれ教区の憲法、規則として認める。                                               

一、人事権、教職の移動が教区をこえて行なわれる場合には、関係両教区の同意を得て行なう。

一、財務に関しては

@本部費用は各教区の分担とする。

    Aその支出方法は教区と、支援団体との協議による。

    B教区の費用は、教区内の各個教会の分担金と、支援団体の援助金によってまかなう.

 一、財産権、引続き法的研究を続ける。

 一、諸施設の運営は当分の間現在通りとする。

 

 東海ルーテル教会と近畿ルーテル教会の両教会は、西日本ルーテル教会が、準備中の合同憲法、規則を受け入れること共に、上記の七つの要望事項に沿って共に合同に参加することを要請していくことを確認した。

 さらに、ホード総幹事シルダルの来日を機に東海福音ルーテル教会が呼びかけて、翌月の五月六、七両日、熱海の来宮の双柿舎で、別な非公式会談が開かれた。参加したのは以下のメンバーである。

 東海

河島、大柴、ソレンソン

 近畿

石村、キプレ

 西日本

鍋谷、ルソドビー

 日本福音

岸、田坂

 

 シルダルは冒頭の談話で、合同の必然性を強調し、西日本ルーテル教会の参加を要望したが、同教会は組織後、日が浅く、今秋予定の創立総会までに参加することが困難であることをほのめかした。

 この懇談会では翌週に予定されている第三回準備委員会に関する意見交換をし、次のような意見がまとめられた。

一、一九六二年十月三十一日に合同創立総会を行う。

一、整備中の憲法、規則を採択する。(但し或る期間、一部の条項に保留をつけることもある)。

一、一九六三年の秋、適当な日に第一桝定期総会を開く。

一、創立総会から第一回定期総会までの期間は運営委員会を設けて、合同教会運営の責任を負う。

一、各個教会に合同の意義をよく理解してもらうよう努力する。