月報付録 2007年2月3日発行   

   「東海教区・静岡教会前史」

   ELC宣教師の軌跡(50)

「東海福音ルーテル教会憲法規則

一九六〇年七月に静岡教会を会場にして開かれた「東海福音ルーテル教会」の創立総会での主な議案は、「東海福音ルーテル教会憲法規則」の承認であった。

 その憲法の全文をここに掲げておく。

 「 東海福音ルーテル教会憲法

 宣 言

主イエス・キリストを教会の頭と仰ぐ我ら福音ルーテル教会は、「信仰のみによって義とされる」主の福音を述べ伝える責任と光栄とをもつて、ここに東海福音ルーテル教会を組織する。そしてその目的達成の為に、憲法を制定し、ともに手を取り合って主の栄光を表わそうとするものである。

 第一章 總 則

(名 称)

第一条 本教会は「東海福音ルーテル教会」といい、この審法に従って組織運営され静岡市古庄四二二番地に事務所を置く。

(目 的)

第二条 「東海福音ルーテル教会(以下単に本教会という)の目的は、イエス・キリストの福音を、主として東海地方に広くのべ伝えて、各市町村に各個福音ルーテル教会(以下各個教会という)を設立し、それとともにキリスト教に基づく教育と社会事業を行なうことである。

 第二章 信 仰

(信 仰)

第三条 本教会は旧新約聖書が聖霊によつて与えられた神のことはであることを信じる。本教会は聖書が信徒の信仰と行為の唯一明確、完全な規準であり、またあらゆる教理と教えの根本であることを信じる。

第四条 本教会は使徒信条、ニケヤ信条、アタナシオ信条が、旧新約聖書の教えと一致するものであると認める。

第五条 本教会は変更されないアウグスブルグ信仰告白書と、ルターの小教理問答書が神のことばに基づいて福音ルーテル教会の信仰と教義を正しくいいあらわしていると認める。

第六条 本教会はアウグスブルグ信仰告白弁証論、ルターの大教理問答書、スマルカルド信条、及び和協信条が、アウグスブルグ信仰告白書と同じく旧新約聖書の教えと一致する教義を言い表わしていると認める。

  第三章 組 織

(組 織)

第七条 本教会は第二章の定める信仰を告白して、この憲法に同意する東海地方の各個教会、及び伝道所で組織する。

(加 入)

第八条 本教会に加入しようとする各個教会、伝道所は実行委員会の推薦を受けてから総会の承認を得て加入する。

 第四章 総会と実行機関

(総 会)

第九条 総会が本教会の最高の議決機機関であって本教会の意志を決定し併せて行政を取り行なう。

総会開会中は選はれた実行委員会がその任務を代行する。しかし別に定めがあればそれに従う。実行委員会はその取扱った事柄を次の総会に報告して承認を得なければならない。

(総会の処理事項)

第十条 総会の取り扱う事柄は次の通りである。

一、各個教会の間の霊的一致を実現する為に、全信徒の協力心を養成し、本教会の教理と習慣とを主導すること。

 二、教師の養成と按手札をとり行なうこと。

 三、本教会に属する教会施設、社会事業施設、伝道施設などの管理と運営。

 四、各個教会からの報告の受理とその承認、また必要に応じて監査を行なうこと。

 五、必要な予算の作成。

 六、教師、教師補、及び伝道者の移動と配置。

 七、伝道地の選定。

 八、教師、教師補、及び伝道者の戒規。

 九、(日本福音ルーテル教会との連絡と統一行動。〕

 十、その他必要な事項。

(総会組織)

第十条 総会は正義員と準議員とによって組織されるが、信徒正議員の数は全正議員の三分の一以上でなければならない。

 正議員は次の通りである。

一、各個教会の代表。

二、各個教会、伝道所の主任教師。

三、総会で認められた特別な事業や教務などに従事している教師、この場合一団体からの正議員の数は二名までを限度とする。

四、実行委員会が推薦した者。ただしその数は十人を限度とする。

準議員は次の通りである。

一、各伝道所の代表。

二、正議員でない宣教師。

三、教師補。

準議員には発言権はあるが決譲権がない.

各個教会を代表する正議員の選出方法やその人数は規則で定める。

準議員についても同じである。

(定足数)

第十二条 総会は正議員の三分の二以上の出席があって成立する。

  流会になった場合には改めて日時を定めて再開する。

 

 

(会 期)

第十三条 総会は毎年一回定期的に開かれる。しかし特に必要があれは実行委員会の要請によって臨時総会を開く事ができる。

(選 挙)・

第十四条 総会は議長と副議長とを選挙する。議長と副議長は正議員である教師の中から選ばれる。

  総会は書記、会計、並びに各事業部の部長を選挙する。会計と財務部長は正議員である信徒の中から選ばれる。

  総会はまた、各事業部員、常置委員、その他必要ないろいろの委員を選挙する。

(議 決)

第十五条 議決は普通出席正議員の二分の一以上の賛成によって行なわれるが、賛成反対が同数の場合には会議の議長が決定する。これは実行委員会の議決についても同じである。しかし特別に定めてある事柄についてはその定めに従う。

(実行委員会の組織)

第十六条 実行委員会は議長、副議長、会計、書記、それぞれ一名と各事業部の部長とによって組織される。

(実行委員の任期)

第十七条 各実行委員の任期は二年間である。しかし三期以上続けて同一任務に選はれることは出来ない。

(議長の権限)

第十八条 議長が本教会を代表し、又本教会の教務と事業などを監督する。議長は総会と実行委員会の議長となり、それぞれ招集する。

  議長がその職務を行なう事が出来ない場合には副議長が代行する。

(欠員補充)

第十九条 実行委員中に欠員ができた場合には、その職務の次点者がその職務を行なう。その任期は前任者と通算して二年間である。

(書記の任務)

第二十条 書記は総会開会中議事録を作り、各教会にこれを送る。また実行委員会記録、総会議員名簿を作成保存する。

(会計の任務)

第二十一条 会計は総会の指示に従って支払いをし、収支についての記録、帳簿などを作って保存する。会計は毎年出納に関する決算書を作って監査を受け、総会に提出する。

 第五章 事 業 部

(事業部)

第二十二条 本教会に伝道部、財務部、社会厚生部、教育部の四事業部がある。

第二十三条 各部は総会で選はれた部長と部員数名で構成する。

第二十四条 各部は総会において決議された事柄を取り行ない、また将来の計画などについて総会に提案する。

第二十五条 伝道部の任務は次の通りである。

一、伝道の方法を研究し、それを各個教会、伝道所へ知らせること。

二、各個教会、伝道所の伝道計画を援助すること。

三、地域内に於ける伝道計画を推進すること。

四、地域内に於ける特殊伝道。

五、(日本福音ルーテル教会伝道部との協力。)

(財務の任務)

第二十六条 財務部の任務は次の通りである。

 一、奉仕と献財精神(スチュワードシップ)の実際活動を奨励すること。

 二、予算を立てて実行委員会に提出すること。

 三、本教会から補助金や借入金を受けた各個教会の会計簿の監査をすること。

 四、財政一般についての事柄を研究し、総会に提案すること。

 五、教会拡張資金の管理。

 六、各個教会の財務についての事務様式の基準を定めること。

 七、(日本福音ルーテル教会財務部との協力。)

(社会厚生部)                

第二十七条 社会厚生部の任務は次の通りである。

 一、地域内の色々な社会事業のまとめをすること。

 二、地域内に必要な社会事業を研究し、具体的な計画を総会または各個教会に提案すること。

 三、(日本福音ルーテル教会の社会厚生部との協力。)

(教育部の任務)

第二十八条 教育部の任務は次の通りである。

一、教会学校や各個教会の教育関係の事業について奨励や助言を行なうこと。

 二、教師を志願する学生の教育管理。

 三、(日本福音ルーテル教会教育部との協力。)

  第六草 常置委員

(常置委員)

第二十九条 本教会に常置委員を置く、詳細は規則で定める。

第三十条 常置委員は総会で議決した事項をとり行ない、また計画を立て、総会に提案する。

 弟七章 財 務

(財政とスチュワードシップ)

第三十一条 本教会の信徒は奉仕と献財の精神〔スチュワードシップ)に従って、本教会と各個教会、伝道所の経費を分担する。

(運営の財源)

第三十二条 本教会に属する各個教会、伝道所の運営は、各個教会、伝道所の分坦金と海外伝道局の献金とでまかなわれる。

(分担金)

第三十三条 各個教会と伝道所は本教会の事業を行うために分担金を支払う章任を負う。詳細は別に定める。

(会計年度)

第三十四条 本教会の会計年度は毎年四月一日に始まり、垂年三月三十二日に終る。

 第八章 戎 規

(戒 規)

第三十五条 本教会の教師、教師補、及び伝道者と信徒で、第二章に示されている信仰を曲げたり、憲法、規則にそむいたり、総会の決議を無視したり、またはキリスト信者としてふさわしくない行ないをした者には戒規が行なわれる。

第三十六条 教師、教師補、及び伝道者の戒視は実行委員会を通じて総会が行ない、総会開会中で止むを得ない場合には実行委員会が行ない、次の総会に報告して承認を受ける。

  信徒の戒規は各個教会の役員会が行なう。

 第九章 補 則

 (規 則)

第三十七条 この憲法を行なうのに必要な規則は別に定める。(但しこの憲法にしるされていない事柄で、日本福音ルーテル教会との関係上必要なものについては、その憲法・規則を適用する。)

(改 正)

第三十八条 憲法の改正は総会正議員十名以上、又は信徒百名以上の署名があれば、この憲法の改正案を総会に提出することができる。改正案の審議と議決は翌年の総会で行なわれる。改正の議決は出席正議員の三分の二以上の賛成による。

第二章を改めることはできない。

 付 則

一、この憲法は東海福音ルーテル教会の組織せられた日から有効である。

二、この憲法は本教会が将来、日本に於ける各系統のルーテル教会と合同することを予想し、合同した際は第一条の名称を合同した名称「東海教区」と改め、条文中の本教会を東海教区と読みかえるものとする。

   規則についても同じである。